台湾の地方選挙と国民投票
〜その結果から日本が考えるべき事〜
講師: 酒井亨氏(公立小松大学准教授)
2019年2月9日、大阪市西区のフラッグスタジオにて酒井先生に御登壇頂き最新の台湾事情をお話頂きました。先生は早稲田大学政治学科を御卒業後、台湾大学法学部研究科修士課程終了の後、共同通信社記者を経て民主進歩党系シンクタンクに勤務された経験を持つ、台湾を外から、そして内から、しかも極めて深い内部から分析を加えられる知識、経験をお持ちです。若かりし蔡英文の話も交えながら鋭い視点で台湾の直面する課題、危機について学ぶ機会を頂きました。
「蔡英文は国民党の廻しもの!」と、先生独特のショッキングワードで始まった講演は先の地方選挙の分析から始まりました。
蔡英文総統になり台湾はより独立色の強い新たな道を歩み始めたのでは?と我々は思いがちですが、先の地方選では国民党一色に染まりました。何があったんだ?、モヤモヤの霧を先生の鋭い分析が一つ一つ晴らして行きます。選挙戦をひもとき脱原発、同性婚、反汚染から世論の動きをあぶり出します。
そして民進党はなぜ大敗したのか。中国の強かな戦略、蔡英文総統の求心力低下、更にはそれがもたらす台湾の好ましくない未来(台湾は北京語の実験場と化した、、等)を、水面下で始まっている静かな変化のひとつひとつを丁寧に掬い上げながら描いて行きます。
最後はそんな台湾の変化がジワジワと日本にもたらす影響を予測し講演は締めくくられました。
講演後の茶話会では、先生の語り足りないトークが更に炸裂しておりました。
以下、当日のレジュメより題目ピックアップ致しました。
1. 地方選挙・国民投票総括
票の分析
民進党大敗の原因
地方選挙結果よりも大問題:国民投票、その後の民進党の錯乱
2. 今後の展望
好転材料?
国民党は復活か回光反照か?
次回総統選挙?
国民党政権復帰?
3. 国際環境の中の台湾(朝鮮・沖縄)
タイミングとして絶対に負けてはいけなかった
中国の情報工作の浸透
日清日露の時代の反覆
4. 台湾の「失敗」から考える意味
住民投票の落とし穴
民主主義による民主主義の否定
独立国・民主主義と「民度」:南朝鮮・台湾・沖縄の運命
5. 日本自身を考える
戦後国内外体制の制度疲労
台湾・北方二島の包摂
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